声楽についての考察(1) オペラ歌手・声楽講師エミリアーノ・ブラーズィからのメッセージ

声楽についての考察(1) 声楽の基礎
~オペラ歌手・声楽講師エミリアーノ・ブラーズィからのメッセージ~


自分の体を意識すること

声楽を学ぶ生徒に足りないとよく思うことが一つあります。それは自分の体に耳を澄ませて、それを尊重してやるという姿勢です。声というものは自分の体から出てくるものです。本や先生の口から出るものではありませんし、オーケストラの指揮者が指揮棒を振ったからといって出てくるものでもありません。自分自身の持っている体からしか出すことができないのです。生徒たちにはこの体にたいする意識が足りないのです。たとえば、こういう風にすると喉が開く、ということがわかれば、そこから自分の声の響きがどのようなものであるのか理解できるようになるわけです。体がそれをはっきりと教えてくれるのですから。

多くの生徒は自分の体に耳を澄ませることが出来ず、またそれが出来ないことに気づいて驚きます。ある声を出すにはどうしたらいいのかを学んでいる時、それがとても上手に出せて、こんな声が出せるのかと自分で驚いたとしても、それを自分のものにして、技術として習得することが出来ないのです。

声楽を学ぶことは本質的に体、つまり歌手にとっての楽器に耳を澄ませることにほかなりません。ピアノ奏者ははじめから自分が引く楽器の音がわかっています。というのも、ピアノの音というのは(メーカーによって音の質や響き、華やかさが違っていたり、技術的・機械的な特徴があったりすることはあるかもしれませんが)どのピアノをとっても決まっていて、変わるものではありません。けれども歌手には最初から決まった音というのはないのです。これは自分で見つけるよりほかなく、それを見つけるのは自分自身の体を知らずしてはあり得ないのです。声が出てくるのはまさしく体からなのですから。

したがって、自分の声色は自分で探しださなくてはならないもので、先生が決めるものではないということを理解することが大切です。自分の体が自分の声色を教えてくれるはずです。私の瞳の色は茶色ですが、それなのに「私の瞳は青色です」などといえば、頭がおかしい人だと思われかねません。それと同じように「私はソプラノです」という歌手の体からメゾソプラノの声が出てきたならば、それは自分の能力を正しく評価していないことになり、声に無理を強いていることになるのです。それはいつか声をだめにしてしまうかもしれません。

声楽を真剣に学ぶことは、自分でないものになろうと取り組んだり、努力をすることではありません。自分に備わった声で最高の表現をすることに心を砕くことなのです。

<つづく・・・>

Emiliano Blasi エミリーノ・ブラーズィ
Emilino Blasi-2
 

 

 

 


本気で学びたい方へ
本物の声楽レッスンは「FIDES学院」へ
http://fides-japan.com/%e3%82%a4%e3%82%bf%e3%83%aa%e3%82%a2%e5%bc%8f%e7%99%ba%e5%a3%b0%e3%83%bb%e5%a3%b0%e6%a5%bd/
初心者からのイタリア語学校は「フィデス学院」
ラテン語・古典ギリシャ語・文学・オペラ歴史など多彩な講座。
イタリア語のプライベートレッスンもおススメ。
http://fides-japan.com/